研究成果
Hot Topics
- 2018.6.27
公募-犬束班が共著者として研究に加わった国際共著論文が "Science Translational Medicine" に掲載されました。(Volume 10, Issue 447, 2018.6.27)
“Opiates increase the number of hypocretin-producing cells in human and mouse brain and reverse cataplexy in a mouse model of narcolepsy“
- 2018.6.21
長谷川班(中村航介さん、長谷川寿一教授)と北海道大学の瀧本准教授による論文が Natureオンラインジャーナル"Scientific Reports" に掲載されました。
“Cross-modal perception of human emotion in domestic horses (Equus caballus)“
ウマは仲間のウマの表情や声から感情を読みとれることが知られている。これまで,ヒトの表情と声を関連づけて感情を読みとれるとわかっていた動物はイヌのみだったが、本研究では,ウマがヒトの表情と声を関連づけて感情を読みとれることを初めて解明した。 プレス発表資料はこちら。
本研究成果は、“北海道新聞“、“日経ONLINE“
、“Neuroscience News“
など多くのメディア・ウェブサイトで紹介されました。
- 2018.5.23
大槻班の論文が "Frontiers in Ecology and Evolution" に掲載されました(2018.5.23)。
“Evolutionary Dynamics of Coordinated Cooperation“
同調性を持つ個体の存在が、協力の進化ダイナミクスに与える影響を理論的に探った。その結果、同調性を持つ個体の存在は一般的に集団の協力率を上げること、および同調個体の存在により条件付き協力、無条件協力、無条件非協力の三者共存が促進されることを見出した。
- 2018.3.10
村山班と菊水班による共著論文が "JOURNAL OF HEREDITY" のオンライン版に掲載されました(2018.3.10)。
(紙媒体 Volume 109, Issue 5, 2018.6.27, Pages 566-572)
“Effect of Canine Oxytocin Receptor Gene Polymorphism on the Successful Training of Drug Detection Dogs“
オキシトシンは親和的な行動を促進させることが知られている。近年の研究成果で、ヒトとイヌという異種間における絆形成にもオキシトシンが作用することがわかった。今回、我々は麻薬探知犬養成の成功率にオキシトシン受容体遺伝子の種類が関わっていると仮説を立て、340匹のラブラドールリトリーバーを対象に調査を行った。結果、C allele(T/C C/C遺伝子タイプ)を持つイヌのほうが麻薬探知犬になれる確率が高いことがわかった。 - 2018.1.16
菊水班と公募-犬束班による国際共著論文が "Behavioural Brain Research" のオンライン版に掲載されました(2017.12.7)。
“Sex differences in olfactory-induced neural activation of the amygdala“
動物のオスとメスでは、異なった社会性や集団での振る舞いを示す場合がある。特に性シグナルへの応答には明瞭な性差がある。オスとメスで異なった社会刺激に対する反応をつかさどる脳部位の同定を目指した。マウスで重要な社会シグナルは扁桃体の内側核を活性化させた。その活性化のパターンが雌雄で異なっていた。このパターンの違いが性行動や攻撃行動に関わるかを調べたが、明瞭な機能の差は見いだせなかった。
- 2018.1.16
尾仲班と公募-犬束班による共著論文が "ENDOCRINOLOGY" のオンライン版に掲載されました(2017.11.24)。
(紙媒体 Volume 159, Issue 2, 2018.2.1, Pages 763-775)
“Oxytocin–Oxytocin Receptor Systems Facilitate Social Defeat Posture in Male Mice“
オキシトシンは親和的な行動を促進させることが知られている。しかし、オキシトシンの作用はヒトにおいて状況依存的であることも示唆されている。すなわち、親和的な状況ではストレスを緩和させ親和的な行動を促進させるが、敵対的な状況ではストレス反応を促進させると報告されている。しかし、これまで敵対的状況における作用の神経機構は不明であった。 本研究ではまず、ウイルスベクターと遺伝子改変動物を用い、解剖学的にオキシトシン-オキシトシン受容体系を検討した。その結果、新たなオキシトシン-オキシトシン受容体系(視床下部室傍核-視床・腹内側視床下部・中心灰白質系)を見出した。これらの系が敵対的な状況である社会的優位動物への暴露により活性化された。さらに、オキシトシン受容体欠損動物を用いた実験により、これらのオキシトシン-オキシトシン受容体系が敵対的な社会的状況において社会的なストレス反応を促進している可能性が示された。本研究により、オキシトシンによるストレス促進作用の新たな神経機構が示唆された。
- 2018.1.1
亀田班実施の共感性に関係する社会調査について、朝日新聞の元旦社説でカバーされました。
世代間衡平(intergenerational justice)についての世論調査を、文京区の有権者2000名を対象に、層化二段無作為抽出というサンプリング方法を用いて実施しました。財政や環境などをめぐって、まだこの世に生まれていない将来世代と現世代の間にどのように衡平を実現するかという問題は、将来への認知的共感が必要になるという点で、想像力を持つ人、及び人社会に特有の論点です。調査の結果は、一般にワガママとか老人エゴなど、いわゆるシルバー民主主義の元凶として語られがちな高齢層ほど、むしろ将来世代の利益を積極的に代弁する用意があるというものでした。論文としては未公刊ですが、結果の一般性と時事性を考え朝日新聞に内容を説明したものです。 by 亀田達也(東京大学)
実際の紙面はこちらです。
- 2017.12.19
公募-松永班によるヒトの共感性に関する論文がオープンアクセスジャーナル"Frontiers in Neuroscience" に掲載されました。
“Neural and Genetic Correlates of the Social Sharing of Happiness“
同じ出来事を経験したとしても、自分ひとりだけで経験するよりも、友人と一緒に経験する方が幸せ。「幸せの共有」とも言えるこの現象に関して、今回の論文では、関連する脳領域と遺伝子を見出しました。セロトニン2A受容体遺伝子多型と、心の理論に関連する脳領域が幸せの共有に大きな役割を担っていることを、機能的MRIを用いた社会神経科学的実験と、比較的大きな集団を対象としたアンケート調査により示すことができました。
今年度7月6日にもう1報、共感性に関する論文が"PLOS ONE"に掲載されています。合わせてご覧ください。
“Association between salivary serotonin and the social sharing of happiness“
この論文では、唾液中セロトニンと共感性との関連を見出しました。実験の結果、唾液中セロトニン濃度が高いほど、他者の気持ちを推論するために重要である視点取得能力(共感性能力のひとつ)が低下しており、他者と幸せを共有する割合も弱いことが示されました。また、幼少期の家庭環境が共感性能力、唾液中セロトニン濃度と大きく関連していることも合わせて示されました。
- 2017.12.15
大槻班の情動伝染の理論解析に関する論文が "Journal of Theoritical Biology" のオンライン版に掲載されました。(紙媒体 Volume 440, 2018.3.7, 12-20)
“Evolution of emotional contagion in group-living animals.“
- 2017.11.13
亀田班の研究グループによる論文が "PNAS (Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA)" Early Editionに公刊されました。
“How social information can improve estimation accuracy in human groups“
高度デジタル社会において、社会情報が人々の意思決定に及ぼす影響は益々増大している。本研究では社会情報が集合知の発生をどのように規定するのかについて、複雑系科学・心理学・生物学・経済学の研究者が協同し、日仏両国で大規模な集団実験を行い検討した。実験では、解の自明性(e.g., 真値や解のとり得るレンジ)が直ちに明らかではない設問(例えば、「日本で毎年ガンで死亡する人の数は何人か」、「フランスで年間に盗まれる自動車の台数は何台か」など)を用いて、人々に逐次的な判断を行わせた。各人は最終判断を下すにあたって、自分より前に答えた人々の最終判断の平均(社会情報)を参照することができた。本研究の主要な検討ポイントは、①人々は自分自身の個人的見解と社会情報をどのように集約して最終判断を下すか、②経済学で「情報のカスケード」と呼ばれる、同調が衆愚を生み出す可能性をマクロレベルでどのように回避できるか、である。数理モデルを用いた解析の結果、ごく少量の真値("virtual experts")が意思決定系列に流入しさえすれば、社会情報に対する人々の同調傾向がむしろ大きな集合知を生み出すことが明らかになった。また、こうした集合知効果は、「同調的な日本人、独立的なフランス人」という文化的なステレオタイプに反して日仏両国で等しく認められること、マクロレベルでは文化差よりは共通性のほうが遥かに大きいこと、などが明らかになった。
- 2017.8.1
公募-小出班(国立遺伝学研究所)の研究グループによる論文が Natureオンラインジャーナル"Scientific Reports" に掲載されました。
社会的順位によるストレスが脳に与える影響を明らかにすることにより、うつ病の改善に向けた方法論の確立につながることが期待できます。 行動や性格には遺伝と環境の両方が重要な役割をはたしていますが、今回の研究では遺伝によらない環境の影響について遺伝研の行動遺伝学をテーマにしている小出チームと静岡県立大のチームが明らかにしました。
プレス発表資料はこちら。
本研究成果は、“サイエンスポータル“、“マイナビニュース“
、“QLifePro医療ニュース“
など多くのウェブサイトで紹介されました。
“Hierarchy in the home cage affects behaviour and gene expression in group-housed C57BL/6 male mice(ケージ内に同居するC57BL/6雄マウスの社会的順位が行動や遺伝子発現に影響する)“
- 2017.7.4
公募-小出班(国立遺伝学研究所)の研究グループによる論文が Natureオンラインジャーナル"Scientific Reports" に掲載されました。
本研究は動物が人に近づく行動に関わるゲノム領域を明らかにし、これまで家畜化に成功していない多くの動物種に家畜化の道をひらく可能性が期待できる画期的なものです。 本論文はロンドン大学のRichard F. Mott博士との国際共同研究の成果です。
プレス発表資料はこちら。
本研究成果は、“日本経済新聞電子版“、“毎日新聞電子版“
、“サイエンスポータル“
、など多数のメディアで紹介されました。
“Selective breeding and selection mapping using a novel wild-derived heterogeneous stock of mice revealed two closely-linked loci for tameness (新規ヘテロジニアスストックマウスを用いた選択交配と選択マッピングにより明らかになった従順性に関連する二つの隣接した遺伝子座)“
- 2017.2.15
駒井班(奈良先端科学技術大学院大学)の研究グループによる論文が "Journal of the Neurological Sciences" に掲載されました。
大脳新皮質に移植した神経幹細胞の分化を環境刺激や遺伝子発現制御で調節することができたというのが今回の論文の趣旨です。大きな損傷のある脳に移植したのではないので、自閉症などの内因性疾患や認知症などへの移植再生医療を考える上で重要な仕事だと思います。
“Enriched environment and Mash1 transfection affect neural stem cell differentiation after transplantation into the adult somatosensory cortex“
- 2017.1.30
公募-開班(東京大学)の研究グループによる論文が "Nature Human Behaviour" オンライン版に掲載されました。プレス発表は京都大学で行われましたが、東京大学開研究室との共同研究です。領域の新たな研究成果としてご紹介させていただきます。
詳細はこちらをご覧ください。
尚、論文の第一著者、鹿子木研究員(現NTTコミュニケーション基礎科学研究所)と松田 剛助教(京都府立医大)は、東京大学開研究室の元メンバーです。
“Preverbal infants affirm third-party interventions that protect victims from aggressors“
ヒト社会では,攻撃されている他者のために身を投げ出して助けるような行為は「美徳」として受けとめられ,道徳,正義,ヒロイズムといった概念とむすびつけてイメージされます。これまでの研究では,正義の行為がみられるのは就学前頃であることが示されてきました。しかし,こうした正義の概念は,生後の学習によって獲得されるのか,あるいは生後早期からすでにみられる傾向であるかについては未解明のままでした。
我々の研究グループは,上述の正義の概念の原型は,発達の早期にすでに認められると仮定し,前言語期のヒト乳児を対象に,6つの実験から,弱者を助ける正義の行為を肯定する傾向が発達の早期にすでに認められることを明らかにしました。
本研究成果は、“朝日新聞DIGITAL 1月31日“、“ABCニュース“
、“MBSニュース“
や、地上波のニュース番組など、幅広いメディアで報道されました。
- 2017.1.18
長谷川班の橋彌研究室(九州大学)による論文が "Frontiers in Psychology" オンライン版に掲載されました。
詳細はこちらをご覧ください。
本研究は、1歳半の赤ちゃんが、「第三者」の立場からも、知識や注意の状態の違いを踏まえた上で「他者を気遣っている」ことを示した初めての研究報告です。
“Observing Third-Party Attentional Relationships Affects Infants' Gaze Following: An Eye-Tracking Study“
本研究では、「画面の2人が前もって注意を共有している場面」ではこのような視線のパターンは見られないなど、他条件との比較と統計的な分析から、上記の結果は、これまで既に明らかになっていた「自分と相手の知識や注意の状態の違い」だけでなく、「他者同士の知識の違い」まで認識して行動していることを示すものと結論づけました。本成果により、ヒトにおける能力の発達的起源を理解する上で新たな視点を与えるとともに、子育てや教育の現場に臨むことには、大きな意義があると考えられます。今後は、1歳半で上記の傾向が出現する発達の要因を特定し、また、対面場面での多様な状況を設け、赤ちゃんが如何に状況に応じて情報伝達をする(あるいは「しない」)のかを、実証的に検討します。
本研究成果は、“NIKKEI DIGITAL 1月18日14時“、“九州大学NEWS“
、HNK福岡ニュースなど、多数のメディアで報道されました。
- 2016.12.15
前期公募-山本班による共感に関するopinionが "WIREs Cognitive Science" に掲載されました。先に刊行された心理学評論共感性特集号に掲載された論文の基論文とのことです。
“Primate empathy: three factors and their combinations for empathy-related phenomena“
- 2016.11.26
前期公募-山本班(山本先生とリングホーファー研究員(神戸大学)による論文が "Animal Cognition" オンライン版に掲載されました。神戸大学によるプレス発表資料はこちら
“Domestic horses send signals to humans when they face with an unsolvable task“
◆ヒトとウマとの間の異種間コミュニケーションを実証した、数少ない研究の一つです。
◆ウマは自身で解決不可能な問題に直面した際、問題を解決するために視覚・触覚的信号を用いてヒトに助けを求めることが明らかとなりました。
◆高い認知能力を持つとされる霊長類では、他者が何を知っているかを理解した上で行動を変えることができるとされています。ウマもこのような能力を持つことが、本研究によって初めて明らかとなりました。
本研究成果は、“朝日新聞関西版 12月14日夕刊“、"朝日新聞DIGITAL 12月16日版"
および"ドイツSpiegel(新聞)online版"
など多数のメディアで報道されました。
- 2016.10.1
亀田班の研究グループによる論文が "PNAS (Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA)" オンライン版に掲載されました。プレス発表資料はこちら。
“Rawlsian maximin rule operates as a common cognitive anchor in distributive justice and risky decisions“
◆さまざまなイデオロギーの違いを超え、「格差や最も恵まれない状態に、好むと好まざると に関わらず自然に反応してしまう共通の神経回路」の存在を、脳イメージング(fMRI)を含む認知神経科学実験により明らかにした。
◆20 世紀の社会哲学を席巻したジョン・ロールズの『正義論』の「いかに分けるべきか」に関する議論が「机上の空論」ではなく、ふつうの人々の脳に神経回路として実際に存在することを明らかにした。
◆富の格差をめぐる人々の懸念は巨大なうねりを生み出している。イデオロギーを超え最不遇状態に敏感に反応する神経基盤の存在は、「分配のあり方」に関する対立を越える科学的基礎となる。
本研究成果は、“朝日新聞DIGITAL 10月1日“、および"朝日新聞10月2日(日)朝刊3面"
で報道されました。
- 2016.7.28
大槻班の論文がオープンアクセスオンラインジャーナル "Games" に掲載されました。
“Optimal Decision Rules in Repeated Games where Players Infer Others' Minds by Simplified Belief Calculation.“
- 2016.7.27
大槻班の論文が "Proceedings of the Royal Society B" に掲載されました。
“The price of being seen to be just: an intention signalling strategy for indirect reciprocity.“
- 2016.7.9
大槻班の論文が "Theoritical Population Biology" のオンライン版に掲載されました。(プリント版は10月予定)
“Population size vs. social connectedness — A gene-culture coevolutionary approach to cumulative cultural evolution.“
- 2016.7.7
公募-犬束班の論文がNatureオンラインジャーナル"Scientific Reports"に掲載されました。
名古屋大学によるプレス発表はこちら
“The integrative role of orexin/hypocretin neurons in nociceptive perception and analgesic regulation.“
本論文は、痛みを感じ、それを抑える際のオレキシン神経のはたらきを明らかにしています。ファイバーフォトメトリーと呼ばれる自由行動下で特定神経の活動を測定できる装置の開発により、痛み情動伝染の神経基盤を解析するための大きな足掛かりができました。
- 2016.7.1
菊水班とカナダ・マギル大学のJeffrey Mogil教授との国際共同研究による論文が"Developmental Psychobiology"オンライン版に掲載されました。
“Early weaning impairs a social contagion of pain-related stretching behavior in mice.“
マウスが早い時期に母親から離乳させられると情動伝染があまり働かなくなることを検証した。
- 2016.5.27
公募-犬束班が共著者として研究に加わった、理研の村山正宜先生をリーダーとする共同研究グループによる論文が"Science"に掲載されました。
理化学研究所によるプレス発表はこちら
“Top-down cortical input during NREM sleep consolidates perceptual memory.“
学習直後の断眠時に大脳新皮質を再活性化させることで、睡眠不足でも知覚記憶を向上できることを証明しました。今後、マウスにおける大脳新皮質の刺激パターンをさらに臨床に適用できるよう改良することで、睡眠障害による記憶障害の治療方法の開発に応用できると期待されます。
- 2015.3.30
大槻班の論文が "Human Nature" のオンライン版に掲載されました。(プリント版は(2016)27(2), pp201-219)
“Does sexual conflict between mother and father lead to fertility decline? A questionnaire survey in a modern developed society.“
- 2016.3.28
渡辺班の藤田研究室(京都大学)のグループによる、リスザルが第三者的立場から、物体の交換においてフェアでない振る舞いをする人物をいかに評価するかを調べた論文が "Animal Cognition" のオンライン版に掲載されました。(プリント版はJuly 2016. Volume 19, Issue 4, pp 813–818.)
“Evaluation of third-party reciprocity by squirrel monkeys (Saimiri sciureus) and the question of mechanisms.“
リスザルが第三者的立場から、物体の交換においてフェアでない振る舞いをする人物をいかに評価するかを調べたところ、フサオマキザルと同じように、公平な物体交換に応じない人物を避けて報酬をもらおうとすることがわかりました。興味深いことに、フサオマキザルとは異なり、リスザルでは、公平に交換に応じる人物から報酬をもらおうとする傾向も見られました。しかしこれは、最後に物体を渡した人物から報酬をもらう単純な傾向で説明できるので、必ずしも、第三者の人物評価の結果ではないかもしれません。さらなる比較研究が必要なように思われます。
- 2016.1.6
公募-幸田班(大阪府立大学)の研究グループによる"The social and ecological costs of an ‘over-extended' phenotype" という論文が、英国科学雑誌"Proceedings of the Roal Society B - Biological sciences"オンライン版に掲載されました。
“The social and ecological costs of an ‘over-extended' phenotype.“
本研究結果を踏まえ、魚類の共感性の研究「喧嘩の仲裁」に発展させることが期待されます。
- 2016.1.5
公募-野村班(京都府立医科大学)の研究グループによる『発生期の非哺乳類脳における基底膜側の前駆細胞の進化』という論文が、英国科学雑誌“Development“オンライン版に掲載されました。
“Evolution of basal progenitors in the developing non-mammalian brain.“
本研究結果から、進化の過程で哺乳類と鳥類が共通したメカニズムによって大きな脳を獲得したことが推測され、哺乳類の知性の基盤となる脳の進化起源に迫る手がかりとして、今後、哺乳類独特の大脳皮質の発生に伴う様々な疾患の解明にも貢献することが期待されます。
- 2015.12.18
菊水班(麻布大学)と大槻班との共同研究による論文が、Natureオンラインジャーナル“Scientific Reports“に掲載されました。
“Comparison of owner-reported behavioral characteristics among genetically clustered breeds of dog (Canis familiaris).“
日本及び米国における一般の飼い主及びブリーダーを対象としたイヌの行動特性に関するアンケート調査C-barqを、インターネット媒体を用いて実施した結果、原始的な犬グループのイヌはどの犬種グループよりもヒトへの愛着が低いことが明らかとなり、先行研究で知られている遺伝分岐図と一致した結果が得られた。
- 2015.12.16
尾仲班(自治医科大学)の研究グループによる『樹状突起から放出されたオキシトシンが扁桃体に作用して社会記憶を促進させる』という論文が、“Biological Psychiatry“オンライン版に掲載されました。
“Activation of supraoptic oxytocin neurons by secretin facilitates social recognition“
- 2015.11.26
公募-幸田班(大阪市立大学)による『魚が顔の模様の違いで他個体を識別する』という論文が、米オンライン科学誌 "PLOS ONE"に掲載されました。
“Facial Recognition in a Group-Living Cichlid Fish“
大阪市立大学によるプレス発表はこちら
本論文は、魚類の一種において、顔の模様の違いで他個体を識別することを実証したものです。 顔で互いを識別するのはヒト、チンパンジーをはじめ、霊長類や群生活をする哺乳類、鳥類ではカラス類などで知られていましたが、今回の発見はこれまでの常識を大きく覆す発見といえます。 本研究成果は、“毎日新聞“、“朝日新聞“
、“読売新聞“
など多数のメディアで報道されました。
- 2015.11.25
大槻班(総合研究大学院大学)の論文が 米オンライン科学誌 "PLOS computational biology" に掲載されました。
“Reputation Effects in Public and Private Interactions.“
- 2015.10.13
大槻班(総合研究大学院大学)の論文が "Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics" のオンライン版に掲載されました。(プリント版はNovember 2015, Volume 32, Issue 3, pp595-614)
“Effective group size of majority vote accuracy in sequential decision-making.“
- 2015.9.22
大槻班(総合研究大学院大学)の論文が "Dynamic Games and Applications" のオンライン版に掲載されました。
“Fixation Probabilities of Strategies for Bimatrix Games in Finite Populations.“
- 2015.9.10
大槻班(総合研究大学院大学)の論文が "American Journal of Human Biology" のオンライン版に掲載されました。(プリント版はMarch-April 2016, Volume28(2):pp220-225.)
“A panel data analysis of the probability of childbirth in a Japanese sample: new evidence of the two-child norm.“
- 2015.8.20
渡辺班の藤田研(京都大学)と村山班(京都大学)、長谷川班の齋藤先生(武蔵野大学)の領域内共同研究による、ネコのオキシトシン受容体(OXTR)遺伝子の多型と、飼い主の評定したネコの性格の関係を分析した論文が "Journal of Veterinary Behavior" のオンライン版に掲載されました。(プリント版はJanuary-February 2016, Volume 11, pp109-112.)
“The oxytocin receptor gene (OXTR) polymorphism in cats (Felis catus) is associated with “Roughness” assessed by owners.“
ネコのオキシトシン受容体(OXTR)遺伝子の多型と、飼い主の評定したネコの性格の関係を分析しました。6点尺度の30の項目からなる性格質問紙からは、4つの因子が抽出されました。開放性(openness)、友好性(friendliness)、粗暴さ(roughness)、および神経質さ(neuroticism)です。94のDNA標本との関連性をGLMで分析したところ、全体としてG738Aという一塩基置換多型(SNP)を持つネコは、それを持たないネコよりも粗暴であることがわかりました。性別と去勢/避妊で分けると、この傾向は、避妊したメスでだけ見られることがわかりました。正確には年齢も関係しており、若いネコほど開放性が高く、年齢の高いネコほど粗暴さが高くなりました。ここで見いだされた遺伝子と性格の関係は、ネコの福祉や、飼い主とネコのマッチングをより良いものにするために利用することができると考えられます。
- 2015.8.3
公募-幸田班(大阪市立大学)による『社会性の発達した魚類の認知能力は本当は高い』という論文が、スイスの生物学専門誌 "Frontiers in Ecology and Evolution" オンライン版に掲載されました。
“The use of multiple sources of social information in contest behavior: testing the social cognitive abilities of a cichlid fish“
大阪市立大学によるプレス発表はこちら
本論文は、魚類の一種において、「A>BかつB>C であればA>Cである」という論理的な思考が可能であることを証明しました。 今回の発見は、魚類を含む“下等”な脊椎動物は、刺激に反応する行動や単純な学習しかできないとするこれまでの常識を覆す成果と言えます。本研究成果は、“The Wall Street Journal Japan“、“朝日新聞“
、“毎日新聞“
、“産経ニュース“
、“共同通信ニュース“
など多数のメディアで報道されました。
- 2015.7.7
名古屋大学の溝口先生と、公募-片平班(名古屋大学)、犬束班(自治医科大学)等による『薬物依存者の意思決定』についての論文が、本日リリースの米科学誌 "PNAS" オンライン版に掲載されました。
“Insular neural system controls decision-making in healthy and methamphetamine-treated rats“
名古屋大学によるプレス発表資料はこちら
本論文は、意思決定の視点から薬物依存者の脳と心の問題に迫ったもので、動物用ギャンブルテストを用いて覚せい剤依存ラットの意思決定の特徴を調べた結果、覚せい剤依存ラットはコントロール動物に比較してハイリスク・ハイリターンの選択肢を選ぶ割合が高いこと、また、この意思決定の変化には島皮質神経の異常な興奮が関与していることが明らかになりました。これらの研究成果は、薬物依存の予防や診断・治療にも応用可能であり、意思決定障害に関する研究は、ギャンブル障害の病態解明にも繋がるものです。 - 2015.5.12
公募-佐藤班(関西学院大学)による『ラットが水に溺れる仲間を助ける行動をとる』という論文が、本日リリースの科学誌 "Animal Cognition" 電子版に掲載されました。
“Rats demonstrate helping behavior toward a soaked conspecific“
本論文は、ラットが水に溺れる仲間を助ける行動をとることを実証し、ラットが窮地に立つ仲間に共感を示すことがわかったとしています。本研究成果は、“日本経済新聞“、“毎日新聞“
、“産経ニュース“
、“共同通信ニュース“
など多数メディアで報道されました。
- 2015.4.17
菊水班と尾仲班他による『ヒトとイヌの絆形成に視線とオキシトシンが関与する』という論文が、本日リリースの米科学誌"Science" に掲載されました。なんと表紙を飾っています。
“Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds“
本論文は、ヒトとイヌが共生の進化の過程で獲得した異種間の生物学的絆の形成に視線とオキシトシンが関与することを実証したものです。本研究成果は、“日本経済新聞“、“読売新聞“
、“毎日新聞“
、“産経ニュース“
、“共同通信ニュース“
、“時事通信ニュース“
、海外では“Reuters Washington“
、“theguardian(UK)“
など多数メディアで報道されました。尚、論文紹介ビデオもありますので、ご興味ある方は是非ご覧ください。“こちら“
より閲覧可能です。
- 2015.1.18
公募-古藤班(東京大学薬学研究所)によるアリの社会性行動に関する論文が、"Behavioral Ecology and Sociobiology" オンライン版に掲載されました。
“Social isolation causes mortality by disrupting energy homeostasis in ants“
本論文は、社会性昆虫において周囲の個体との相互作用がその行動、生理状態に大きな影響力を持ち、健康状態の維持に必須であることを示唆する内容です。本研究成果は、“24 heures (Switzerland)“、“ABC Science (Australia)“
などで報道されました。
- 2014.10.20
公募-岡沢班(福井大学)による、自閉スペクトラム症(ASD)患者と定型発達者(TD)の共感性に関する比較論文が "Social Cognitive and Affective Neuroscience" のオンライン版に掲載されました。(プリント版はFebruary 2015, Volume 10, Issue 2, pp145-152.)
“Autistic empathy toward autistic others“
自閉スペクトラム症 (ASD)患者に、ASD行動パターンと一般的行動パターンを記述した文を読んでもらい、それぞれ自分と似ているかを判断してもらう際の脳活動をfMRI (機能的磁気共鳴画像法)で計測したところ、ASD患者はASDの行動パターンを記述した文を読んだ際に共感や自己意識と関連する脳部位が活動し、定型発達(TD)群が一般的行動パターンに共感するのと同じ部位が活動すること明らかになったという内容です。 - 2014.10.19
公募-幸田班(大阪市立大学)による論文が "Behavioral Ecology and Sociobiology" オンライン版に掲載されました。(プリント版はFebruary 2015, Volume 69, Issue 2, pp169-181)
“Group composition, relatedness, and dispersal in the cooperatively breeding cichlid Neolamprologus obscurus“
魚類の共同繁殖の報告例は少ない。野外観察と分子解析による血縁関係の把握から、タンガニイカ湖シクリッドN. obscurusが分散遅延による血縁ヘルパーを伴う共同繁殖魚である事を明らかにした。ヘルピング行動は親の仕事量を減らしていた。メンバー同士は個体識別しており、怠けたヘルパーは親からの罰も受ける。このように社会性が極めて高く、共同繁殖やその共感性研究のモデル魚類となる魚種である。
- 2014.10.09
公募-幸田班(大阪市立大学)による論文が "Behaviour" オンライン版に掲載されました。(プリント版はJanuary 2015, Volume 152, Issue 2, pp231–245)
“Female control of paternity by spawning site choice in a cooperatively polyandrous cichlid“
シクリッドの協同的一妻多夫では、雌が雄の父性の操作をすることが知られている。その操作は楔型の巣を雌が選択的に利用し行う。雌がα雄とβ雄の2雄が卵の受精ができる巣内の特定の場所を選んでいるとの仮説について検証した。階段状にした巣を用いたところ、雌は意図的に階段の境目を選択して産卵し、それにより両雄の受精の配分を操作している事を示された。 - 2014.10.09
長谷川班分担者の橋彌先生(九州大学)と学術協力研究員の小林洋美さんが参加した論文が、"Infant Behavior and Development" に掲載されました。
“Understanding of others’ knowledge in French and Japanese children: A comparative study with a disambiguation task on 16-38-month-olds. “
Norimatsu, H., Blin, R.,Hashiya, K., Sorsana, Ch.,Kobayashi, H. (2014): Infant Behavior and Development. 37(4). pp.632-643.
これまでに報告されてきた誤信念課題の通過年齢における文化差(日本人の幼児の通過年齢は遅いと報告されている)が、課題の特異性によるものである可能性を直接検討するために、固有名詞を用いた新たな課題を開発し、同一課題での日仏間比較をおこなったものです。実験者Aは人形①を、実験者Bは人形②を「ポピー」という固有名詞で呼ぶ場面を設定すると、生後30ヶ月以降の被験児は適切な「ポピー」を選択する(Aには①を指し示す)ようになり、課題の通過時期には日仏間で差がないことが示されました。 - 2014.09.11
長谷川班分担者の橋彌先生(九州大学)と大学院生の孟憲巍さんの論文が、米オンライン科学誌 "PLOS ONE"に掲載されました。本論文は、“九州大学“からプレスリリースされ、日本経済新聞、“朝日新聞(紙面+デジタル版)“
、“毎日新聞(紙面+デジタル版)“
、“Yahoo!ニュース“
、gooニュースなどで報道されました。
“Pointing Behavior in Infants Reflects the Communication Partner's Attentional and Knowledge States: A Possible Case of Spontaneous Informing. “
Meng, X.& Hashiya, K. (2014): PLoS ONE 9(9): e107579. doi:10.1371/journal.pone.0107579
1歳前半の赤ちゃんが、相手の知識や注意の状態を推測したうえで、その相手が「知らない」と推測されるものを選択的に指さして自発的に「教えている」可能性を示したものです。 - 2014.08.27
長谷川班研究協力者の特任研究員テレサ・ロメロさんらによるオオカミのあくび伝染に関する論文が米オンライン科学誌 "PLOS ONE"に掲載されました。本論文は“National Geographic“、“Los Angeles Times“
、“Smithsonian Magazine“
、“California Academic of Sciences“
など多数のメディアで報道されました。
“Social Modulation of Contagious Yawning in Wolves“
- 2014.07.24
公募-幸田班(大阪市立大学)による論文が "Naturweissenschaften" オンライン版に掲載されました。(プリント版はSeptember 2014, Volume 101, Issue 9, pp 745-751)
“Duration of memory of dominance relationships in a group living cichlid“
シクリッド魚類の一種を材料に、社会的情報の記憶時間について脊椎動物で始めて明らかにした研究です。
- 2014.7.18
亀田班分担者の山岸先生(一橋大学)と清成先生(青山学院大学)によるホモエコノミカスに関する論文が、"Psychological Science" オンライン版に掲載されました。
“In Search of Homo economicus“
ホモエコノミカスとは、経済的合理性のみに基いて行動する個人主義的な人間像のことをいいますが、多くの社会科学者はそれは単なる想像上の産物だとしています。我々の実験(東京近郊の比較的裕福な地域に住む446名を対象に経済ゲーム実験などを実施)により、約7%の被験者はホモエコノミカスの行動特性に当てはまっていることがわかりました。また、9%の被験者は擬似ホモエコノミカスと言える特徴を持っていることもわかりました。これら2タイプのまったく非協力的な人間は、行動上はよく似ているにもかかわらず、衝動性の高低などに大きな差があり、また社会的な適応上も大きな差があることがわかりました。 - 2014.6.27
公募-中村班(京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット)の論文が、"Cell Metabolism" オンライン版に掲載されました。(印刷版はAugust 2014, Volume 20, Issue 2, pp 346-358)
“Psychological stress activates a dorsomedial hypothalamus–medullary raphe circuit driving brown adipose tissue thermogenesis and hyperthermia“
本論文は、心理ストレスによる体温上昇を生み出す脳の神経伝達の仕組みを解明したものです。本研究成果は、“Cell Press“と“京都大学“
からプレスリリースされ、産経新聞、“京都新聞“
、“日刊工業新聞“
、“共同通信“
、“Yahoo!ニュース“
などで報道されました。
- 2014.6.18
公募-犬束班(名古屋大学環境医学研究所)の論文が、"Neuropharmacology" オンライン版に掲載されました。
“Concurrent and robust regulation of feeding behaviors and metabolism by orexin neurons“
視床下部に存在するオレキシン神経の、摂食・代謝における働きを明らかにした論文です。薬理遺伝学的手法を用いて、オレキシン神経の活動操作を自由行動下において達成しました。
- 2014.6.17
公募-野村班(京都府立医科大学)の論文が、"Evolution & Development" オンライン版に掲載されました。(印刷版はVolume 16, Issue 4, pages 197–206, July/August 2014)
“Comparative gene expression analyses reveal heterochrony for Sox9 expression in the cranial neural crest during marsupial development“
有袋類における神経堤細胞の形成過程を進化発生学的解析により明らかにした論文です。
- 2014.06.11
公募-岡沢班(福井大学)によるfMRIを用いた自閉症に関する論文が オンライン科学誌 "Molecular Autism" に掲載されました。
“Default mode network in young male adults with autism spectrum disorder: relationship with autism spectrum traits“
- 2014.06.09
公募-幸田班(大阪市立大学)によるカワスズメ科魚類での新たな子育て様式に関する論文が米オンライン科学誌 "PLOS ONE"に掲載されました。
“Maternal Food Provisioning in a Substrate-Brooding African Cichlid“
タンガニイカ湖のカワスズメ科魚類での新たな子育て様式。基質産卵魚ではじめてみつかった、母親による子供への給餌に関する論文です。 - 2014.06.09
長谷川計画班の特任研究員テレサ・ロメロさんと菊水班連携研究者の永澤先生(自治医科大学)の共同研究によるオキシトシンとイヌの友情に関する論文が "PNAS" オンライン版に掲載されました。(印刷版は6月24日 vol.111 no.25)本論文は“SCIENCESHOT“、“Discovery News“
、“The Japan Times“
、“THE AUSTRALIAN “
など多数のメディアで報道されました。
“Oxytocin promotes social bonding in dogs“
オキシトシンは哺乳類では視床下部で産生され、母子間や雌雄間の絆形成において重要な役割を担うホルモンです。ヒトにおいては絆形成に加えて、信頼や寛大さ等のより複雑な協力行動の促進にも関与しています。今回の麻布大学と東京大学の共同研究では、オキシトシンがイヌと彼らの飼い主および同居犬との親和的関係の維持にも関与していることが示されました。本研究の結果は、イヌにおいてオキシトシンが母子間や雌雄間の絆とは異なる親和的関係の形成に関与していることを示唆しています。社会的関係の量と質は、ヒトでも動物でも寿命や子孫の生存に影響することから、これは非常に重要な発見です。また、オキシトシンは社会的な協調性や機能に障害をもつ人達に対する有望な治療薬の候補になりうると期待されます。
- 2014.6.05
公募班の 中尾先生(総合研究大学院大学)の論文が、"The Review of Philosophy and Psychology" オンライン版に掲載されました。
“Ready to Teach or Ready to Learn: A Critique of the Natural Pedagogy Theory“
近年、特に発達心理学において注目を集めつつある、教育に特化した心的適応形質としてのナチュラル・ペダゴジーに関して様々な角度から批判的に検討した論文です。進化的な観点からも、またナチュラル・ペダゴジー説を支持すると考えられている実験の解釈についても、様々な問題がある事を指摘しました。
- 2014.5.30
尾仲班(自治医科大学)による論文が、 "Endocrinology" オンライン版に掲載されました。(プリント版はAugust 2014, volume 155, Issue 8, pp. 2996–3004)
“The Medial Amygdala-Medullary PrRP-Synthesizing Neuron Pathway Mediates Neuroendocrine Responses to Contextual Conditioned Fear in Male Rodents“
恐怖に対する反応のうち、生体の恒常性に重要な神経内分泌反応に関わる神経回路は不明でしたが、本研究により内側扁桃体—延髄プロラクチン放出ペプチド産生ニューロン回路が重要であることが明らかになりました。 - 2014.5.30
長谷川班分担者の橋彌先生(九州大学)の論文が、オンライン科学誌 "Frontiers in Psychology" に掲載されました。
“Development of reference assignment in children: a direct comparison to the performance of cognitive shift“
「これ何?」「車。」『これは?』「傘。」/「これ何色?」「赤。」『これは?』「緑。」というように、「これは?」という曖昧な発話に対する指示対象付与は、会話の文脈によって変化します。 この研究は、3歳児・5歳児を対象に、新たに開発した課題を用いて「これは?」という発話の指示対象付与の発達と実行機能の発達との関連を検討したものです。 - 2014.5.06
公募-野村班(京都府立医科大学)の論文が、"Development" 2014 May 版に掲載されました。
“Development of the prethalamus is crucial for thalamocortical projection formation and is regulated by Olig2“
視床と大脳皮質との神経線維回路形成におけるOlig2転写因子の機能を解明した論文です。 - 2014.5.04
公募-中村班(京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット)の論文が、"Neuroscience" オンライン版に掲載されました。(印刷版はJuly 11, 2014, Volume 272, pp 34-57)
“Distribution of Fos-immunoreactive cells in rat forebrain and midbrain following social defeat stress and diazepam treatment“
本論文は、心理ストレスによって活動が活性化され、抗不安薬で抑制される神経細胞の分布を前脳と中脳において詳細に解析したものです。 - 2014.2.10
『子供の科学(誠文堂新光社)3月号』に「しぐさでわかるネコの気持ち」(取材協力:長谷川班 齋藤慈子先生)が掲載されました。
- 2014.2.6
菊水班(麻布大学 )のマウスの求愛の歌に関する研究の論文が、米オンライン科学誌 "PLOS ONE"に掲載されました。
”Developmental Social Environment Imprints Female Preference for Male Song in Mice"
本研究は、2月6日付朝日新聞夕刊10面、朝日デジタル版、秋田魁新報、TBSラジオニュースなどで紹介されました。
- 2014.1.1
朝日中学生ウィークリー1月1日版9面に齋藤慈子先生による「ネコの飼い主との関係を実証した研究」に関する記事が掲載されました。
- 2013.12.14
TBSラジオ『夢々エンジン』で齋藤先生の研究が紹介されました
- 2013.11.22
『行動生物学辞典』が発刊されました。本領域の長谷川壽一先生と菊水健史先生が編者として参加しています。「愛」から始まり「笑い」で終わる素敵な辞典です。ご興味ある方は是非!
動物行動学・心理学から神経行動学・獣医学まで,関連領域を広くカバーする初の本格的辞典
『行動生物学辞典』
編集:上田恵介・岡ノ谷一夫・菊水健史・坂上貴之・辻 和希・
友永雅己・中島定彦・長谷川寿一・松島俊也
A5判上製箱入り,640頁 ISBN 978-4-8079-0837-0
内容見本はこちらご購入はこちら
から
- 2013.11.20
朝日新聞夕刊14面に長谷川班分担者の齋藤先生による「ネコの飼い主との関係を実証した研究」に関するコラムが掲載されました。(※無許可リンクは堅くお断りいたします。)
紹介された研究に関する論文の詳細はこちらから
- 2013.08.09
長谷川班の特任研究員テレサ・ロメロさんのイヌのあくび伝染に関する論文が米オンライン科学誌PLOS ONEに掲載されました。
“Familiarity bias and physiological responses in contagious yawning in dogs support link to empathy“
本研究は国内外の様々なメディアで紹介されました。
“Science“、“National Geographic“
、“The Times“
、“The Guardian“
、“CBS News“
、“THE AUSTRALIAN“
、“Telegraph“
、“共同通信“
他 電子版ABC News, NBC News, Los Angeles Times、毎日新聞、Fuji News Network など多数。
- 2013.07.01
長谷川班分担者の橋彌先生(九州大学)が翻訳を手がけられた書籍が出版されました。
【訳者談】講演がもとですのでトマセロの著書としては読みやすいのと、デック、スキームズ、シルク、スペルキのコメントが盛り込まれていて議論のバランスが取れていると思います。『ヒトはなぜ協力するのか』
出版社:勁草書房
発売日:2013/6/30
言語:日本語
ISBN-10: 4326154268
ISBN-13: 978-43261542652歳未満のこどもですら示す、他者への援助や協力といった行動の由来は何か。それを可能にする認知システムとその進化的起源を探る内容となっています。
協力を可能にする「こころ」の進化をめぐる最先端の議論。協力の規定にある心理的過程こそが、ヒト独自の多様な文化や制度を支えているとの主張。スタンフォード大学での特別講義を4人の研究者のコメントとともにまとめたあたらしい「こころの進化」のシナリオ。
研究成果
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領域研究者の皆様へのお願い
本領域に関係する(本領域の助成を受けた)研究の発表に際しては、以下の謝辞(Acknowledgement)を必ずどこかに入れるようにしてください。
【和文】本研究は科研費新学術領域研究No.2511XXXX(8桁の課題番号)「共感性の進化・神経基盤」の助成を受けたものです。
【英文】This work was supported by Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas No.2511XXXX (8 digits project code) “The Evolutionary Origin and Neural Basis of the Empathetic Systems”.