領域の概要

「共感性」は、自己と他者との協力および協調、相互理解を成立させる上で重要で、社会の秩序や公平性、助けあい、暴動やデモなどの集団行動の基盤となる心的機能です。この共感性に関る行動はヒト乳幼児にも認められ、霊長類など他の動物でも共感性の起源と考えられる行動が報告されつつあります。これらの事実は、共感性の起源が動物から存在し、共感性の発達は進化的に見て適応的機能があることを示しています。

本領域では、「共感性」が社会集団を安定させ発展させることで個々の生存と適応度を上昇させるために発達した心的機能の一つで、ヒト特有の高次な「共感性」も動物にも認められる原始的な共感性(情動伝染)を元に発展を遂げたものであるという仮説に基づき、①ヒト社会における共感性の成り立ちを調べ、②「共感性」の系統発生的ならびに個体発生的な獲得過程を明らかにし、③「共感性」を神経回路、ニューロン、分子、遺伝子レベルで解明することを目的としています。また、共感性の成立における可塑的・特異的な機序を解明することを通じ、新しい学術領域『共感性の進化・神経基盤』を構築することを目指しています。

本領域の目標

①「共感性の比較認知研究」
共感性の系統発生と個体発生を中心に、共感性の横断的な機能推移の解明を目指す。

②「共感性の進化モデル」
共感性に関わる遺伝子群の進化系統発生を探索すると共に、進化過程における共感性の機能の普遍性と特異性の理解を目指す。

③「共感性の分子・回路基盤の解明」
共感性に関わる神経回路の解明と、その回路内で共感性の発動にむけて寄与する遺伝子・分子群の機能を解明する。

共感性の起源をヒト以外の動物にも見出し共感性の進化・神経基盤を明らかにし、ヒト特有の共感性の成立機構を解明することを目標とする。
共感性の起源をヒト以外の動物にも見出し共感性の進化・神経基盤を明らかにし、
ヒト特有の共感性の成立機構を解明することを目標とする。